設立趣意書 (English version ☚ click here)

高度成長期時に約100億m3のコンクリート構造物が造られた我が国では、現在多くの構造物に経年劣化が発現し全国各地で補修工事が行われています。一般に劣化部除去にはコンクリートブレーカーによるはつりが施されてきましたが、マイクロクラックの発生による早期での再劣化が課題として顕在化しています。ウォータージェットによるコンクリート劣化部除去は、コンクリート母材に対してマイクロクラックの発生抑制に優れたコンクリート劣化部除去技術であります。このマイクロクラックの発生抑制が、早期におけるインフラ再劣化防止、コンクリート構造物の長寿命化等に資するものと期待されます。

 ドイツファルヒ社のウォータージェットマシーンは軽量化され施工性に優れた機械であります。さらに電子制御されているため緊急時の自動停止、事故防止等の安全機能が充実したコンパクトで機動性が高い機械です。また、半自動ロボット等のアクセサリーが開発されており、多種多様なコンクリート劣化部の除去等に対応しています。このファルヒ社のウォータージェットマシーンが普及することにより、ライフサイクルコストの低減と劣化部撤去の施工品質の平準化が実現するものと考えています。

   しかしながら、現在行われている公共工事に鑑みると、NEXCO 東日本等の高速道路では、ウォータージェットはつりは100%採用されていますが、国土交通省では、橋梁上部工にのみ採用が始まったばかりであり、さらに他行政になると、未採用の状況にあります。採用が進まない原因としては、施工経験の少なさ、高い施工費と価格が平準化されていないことが挙げられます。ウォータージェットはつりを普及させ、国民の貴重な資産であるインフラを長期にわたり供用させることは、建設産業界の使命であり責務と考えます。

  そこで、このたびファルヒ社のウォータージェットマシーンを保有する東日本地域の各社が理念を共有し、コンクリート構造物補修における品質向上の取り組みとしてウォータージェット工法が普及するよう、はつり技術の向上やマシーンメンテナンス、ファルヒマシーンの性能規定を基準とした標準施工価格の確立を目指し、インフラ長寿命化とSDGs活動による社会貢献を実践する組織を設立します。今後は、各分野への情報提供を含め、ウォータージェットはつりの健全な発展に寄与する活動を行い、コンクリート構造物の補修後も安心して長期にわたり利用できるインフラ整備に邁進します。